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雑録です。

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2017 
December 11
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2010 
June 27
 今月のナクソスは室内楽に思わぬ掘り出し物が。

○タネーエフ「交響曲第二番/第四番」(ノヴォシビルスク・アカテミック・オーケストラ/トマス・ザンデルリンク)
作曲者はチャイコフスキーに師事。作曲家よりも俄然教育者として有名で、スクリャービン、ラフマニノフ、プロコフィエフと綺羅星のように素晴らしい音楽家を輩出しました。そんな彼の作風はそのまんまチャイコフスキーに叙情性にブラームスを放り込んだようなカチカチ熱血ロシアン系。作風としては保守的だけど、教育者としては革新的な人材を輩出した、というあたりにはマスネーやダンディと一緒。こんな人、どこの国にも一人は居るもんですな(そして皆素晴らしい)。
さて交響曲、有名な第四番よりかは第二番を面白く聞きました(どうも金管が重要らしい四番、この曲をやるには少々オケが力不足です)。特に第一楽章のホルンは圧巻! びっくりするほど正統派熱血ロシア系メロディー。「うおおおおおおおおおおおお!」って感じのマッシブ交響曲。ええ感じです。古臭くてもやっぱりロシア演歌はいいですなあ。
演奏は第一番&第三番でかなり透明度の高いソノリティを見せつけたノヴォシビルスク・アカデミー響。「どうみてもナクソスのB級ロシアオケなのに……くやしい……!」と歯がゆい思いをしてましたらとうとうぼろを出しましたよ。今回の録音は技師さんとともに一変。ぼろが見えたのは弦と金管。ナクソス・オケ特有の薄っぺらい弦で奮闘する様にもうたまらん。金管も無骨なソノリティで、ロジカルなタネーエフの曲をやるには少々熱過ぎなきらいも。第三番の演奏が素晴らしかっただけに期待しましたが、まあこんなものか、となんだかさみしい安心。しかしここでも指揮のザンデルリンクさんが素晴らしい。お名前でまさかと思いましたがブックレットを見ますとクルト・ザンデルリンクの本物の息子さんでびっくり。2.5流のオケで大奮闘。熱演です。ぺらっぺらの弦楽を武骨なロシア訛りに大変身させる手腕に感心。お顔そのまんまでお硬い曲に強いようです(ブリリアント・クラシックスにマニャールの交響曲全集もあるとか)。

○ヴォーン・ウィリアムズ「我らに平和を/聖なる市民」(ボーンマス響/バッハ合唱団/デイヴィッド・ヒル)
ナクソスのイギリスオケの中でも屈指のB級ぶりを誇るボーンマス響。そんなこのオケが今まで妙に高い評価を受けている理由がイマイチ解らなかったのですが、ここにきてようやく解りました。その最大の理由は助演の上手さ。オケ単体としては正直かなり微妙な演奏の多いボーンマス響ですが、助演に回ると途端に素晴らしいアシスタントに。音色が大らかなのが幸いしているんでしょうな。名前が妙にビッグなバッハ合唱団も意外や意外悪くない。一昔前のナクソスの合唱などお笑い草だったのに、最近の進歩は著しいですな。ただしバリトンのソリストは田舎臭く、なんかひなびた田舎の眠いミサみたい……。さてそんな演奏陣が送るのは、イギリス音楽のおやびんRVWの宗教音楽。極めて通俗的で、正直ちょっと物足りない管弦楽の作品も多数ある一方で、美麗極まりない室内楽もちらほら。当たり外れの大きい人です。さてそんな彼の宗教音楽はといえば、これは見事なまでの当たり。「我らに平和を」はハードな熱唱系でちと胃もたれしますが、「聖なる市民」はいいですよ。ひたすらに穏やか。フォーレのレクイエムをもうちょっと厳格に輪郭取ったらこんな感じか。件のレクイエムはまさしく天国での安息を求めた、平和を志向する歌でしたけれど、この曲はまさしくタイトルそのまんま。詩的なタイトルと相まってヴォーン・ウィリアムズのおいしいところを聞ける名曲です。

○シュルホフ「弦楽四重奏曲第一番/五つの小品/弦楽四重奏曲第二番」(アヴィヴQ)
もっぱら「ジャズ風に」ばかりが取り上げられるシュルホフさん。気になってたので買ってみますと、これが当たりでございました。まず演奏陣が素敵。ナクソスの弦楽四重奏といえばピッチヨレヨレだけど熱気で何とか聴かせるレベルの団体が多く、マッジーニ四重奏団やファイン・アーツ四重奏団が良い例(後ろのフランクの弦楽四重奏曲に到っては、老練というよりは老いぼれな音色でして……)。ところがですねえ……物事には例外というものがあるんですな。演奏団体のアヴィヴ四重奏団は初耳でしたが、それも道理。ホフマイスターとかいう怪しさ満点のC級作曲家の弦楽四重奏を一度ナクソスに録音したっきりで、同社とはまったくの疎遠。もっぱら正規盤の会社ばかりをお相手したばかりらしく、ショスタコーヴィチがお得意とか。なるほど、と思わず頷きたくなるその音色はモダンでシュルホフにピッタリ。技術も正確色気もたっぷり。まず聞き物なのは色んな音楽をつまみ食いした分裂的・コスモポリタルな「五つの小品」。「タンゴ・ミロンガ風に」なんて、ストラヴィンスキーのチープなタンゴを思わせる程お洒落。それでいて所々東欧系のやさぐれトーンが響いてくるのが魅力的です(このまま映画にでも使えそう)。これの成功に気を良くしたシュルホフさんが次に手がけたのが弦楽四重奏曲第一番。意外や意外、この曲はモロ・バルトークです。彼の穏健でアメリカニズム入ったときの管弦楽をそのまま弦に移し替えたような作品で、第一楽章なんてとても退廃音楽の作曲家とはとても思えない程古典的で親しみやすい正統派です。そんな彼のハードな面が聞けるのは第四楽章で青髯の城主も顔負けなぐらいノリノリで、切れちゃったときのマリピエロの弦楽四重奏曲みたい。マリピエロ風といえば第三楽章がそうなのが第二番。民俗的土俗的な第一番とはうって違い、「ジャズ風の」のブラックさはこちらで聴けます。ひたすらにウネウネと迷路を彷徨うような音楽、なるほどショスタコ好きの団体がこんなに愉しげに演奏するわけです。どの曲も当たりで、シンフォニックな響きがひたすらに心地よいです。今月一番当たりなのは多分これでしょう。それにしてもこの団体いいですなあ。弦楽器四本でまさかこんなに厚い響きを放てるとは思っても見ませんでした。ルーセルの室内楽とか録音してくれないかなあ……。

○グラナドス「ピアノ三重奏曲/ピアノ五重奏曲ト短調/ゴィエスカスより間奏曲」(ロムピアノ三重奏団)
ヴァイオリン・ソナタや「星々の歌」など、思わぬ傑作の多いグラナドスさん。これ見よがしのスペイン情緒を押し付けるのではなく、ひたすらにノーブルで儚げなメロディを歌う彼の音楽はまさにスペインのショパン。ピアノばかりが取り上げられる彼ですけれど、室内楽も素晴らしいったらありゃしない! さて期待にわくわくしながら聴いてみますとこれが当たりなんだから世の中おいしいもんです。果たして彼のピアノ三重奏曲は全ぬるい系クラシックファンが諸手を上げて喜べそうな穏健な作品で、第2楽章のポエティックぷりが溜まりません。キラキラが横溢する彼の作品はやっぱり普通ではない。適度にこなれたロマンティシズムが心地よいことこの上ない素晴らしい作品です。それと比べるとピアノ五重奏曲はややハード。フランクの晦渋なそれを思わせるものがありますが、とはいえ所々に顔を見せる歌心たっぷりのメロディが胸に染みます。とりわけ異邦人風味の第二楽章なんて泣かせること泣かせること。長生きしてたらさらに素敵な音楽を書いていたんでしょうなあ……。さてそんな文句の付けようのない本盤にも文句の付け所が。一つ目はもちろん演奏。ロムピアノ三十奏団そのものは質朴なピアノ共々悪くないです。やはり技術は不正確な所が多々ありますけれど、それでもローカルらしい大らかな連携を見せてくれて好印象。問題なのはやはり五重奏曲の方ですが。訳のわからん全く無縁の人間を二人引き連れてきて「はい楽団です」ってそりゃ詐欺だろナクソスさん。ピアノの陰影がとにかく美しいだけに、弦楽がやや格落ちなのは、まあ不可抗力ですかね。ピアノさえ良ければまあいいだろ! と言わんばかりの男気溢れ過ぎる演奏です。それとも私に五重奏を聞くだけの力量がないからか……。もう一つの文句は「ゴイェスカス」の間奏曲ですか。他人の編曲ということではなから全く期待しておりませんでしたが、これがまたおっそろしくショボショボ。出だし三十秒のピアノでグラナドスさんとの才気の開きは明瞭。ピアノの素敵じゃないグラナドスさんなんてグラナドスじゃない! ただのリズム打ち扱いじゃねーか! と文句は尽きませんこの編曲(曲自体も正直スペイン色が濃過ぎて、ちょっと……)。とはいえピアノ三重奏曲はなかなかの出来栄えですのでオススメ。この調子でグラナドスさんの室内楽シリーズ続けてほしいなあ……。
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